伝音性難聴は比較的治りやすい

 

 では、こうした耳の構造と働きの、どこがどのように難聴とかかわっていると考えられているのでしょうか。

 

 難聴は、聞こえなくなる原因があるとされる部位によって、大きく2種類に分けられます。

 

 外耳から中耳までの、振動を体内に伝える伝音機能を持つ部位に問題があるのを「伝音性難聴」といい、そして、内耳から神経につながる、振動を電気信号に変えるパーツに機能障害が発生して起こるのを「感音性難聴」といいます。

 

 また、この2つの機能、両方にトラブルがあると考えられる難聴もあり、それは「混合性難聴」と呼ばれています。

 

 伝音性難聴の原因は、無理に耳あかをとろうとして鼓膜を損傷した、また、耳あかがたまりすぎて外耳道をふさいでいるといったことが多くあります。

 

 さらに、良性の腫瘍や、中耳炎などの感染症などからもなることがあります。

 

 伝音性難聴は、手術などを含めた治療で、比較的、改善の可能性が高くあります。

 

 

 また、聞こえ方の特徴としては、小さい音が聞き取りづらく、大きくすれば聞き取りやすくなることが多いようです。

 

 そこで伝音性難聴の場合、補聴器を使うことで、聞こえがよくなるケースが少なからずあるのです。

 

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感音性難聴が治りにくい理由

 

 伝音性難聴と比べ「治りにくい」とされるのが、感音性難聴です。

 

 耳鼻咽喉科をまわっても、「老化だから治らないといわれた」「治療をしてもよくならない」難聴の多くが感音性難聴です。

 

 そして、私の治療院に来る、人さんのほとんどが感音性難聴なのです。

 

 感音性難聴がなぜ、治りにくいのか。

 

 一番大きな理由は、耳あかや腫瘍のように、原因が目に見えるものではないからです。

 

 レントゲンやMRIをとっても、耳の構造に問題はない。

 

 また、血液検査をしても、何も見つからない。

 

 実は血液検査は、ウイルスに感染しているかどうかはわかりますが、難聴の場合、ほかの病気のように、「難聴になりやすい数値」などは確立されていませんから、なぜ聞こえづらくなっているかはわからないのです。

 

 原因がわからなければ、治療はできません。

 

 そして、治療をしなければ、症状は改善されません。

 

 こうした理由から、感音性難聴の人さんは、治りにくいといわれるのです。

 

 また、感音性難聴の場合、小さい音が聞き取りにくいだけでなく、雑音などの聞き分けができない、音は聞こえても言葉が聞き取れないなどの症状が多くみられます。

 

 そのため、補聴器をつけてもあまり役に立たないのです。

 

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片耳が聞こえづらくなる突発性難聴

 

 近年、とくに増加の傾向にあるのが、突発性難聴です。

 

 芸能人やミュージシャンなどでなる人が増えているので、病名を聞いたことがある人もいるでしょう。

 

 突発性難聴は、この10年間で約1・5倍に増えているといわれています。

 

 突発性難聴は、名前の通り、それまで耳の病気を経験したことない人が、明らかな原因もなく、突然、聞こえづらくなる症状です。

 

 めまいや耳鳴りを伴うことも多くあります。

 

 突発性難聴は、多くの場合、片耳だけに発症します。

 

 また、何度も繰り返すことは少なく、たいてい、一度だけ発症します。

 

 しかし、だからといって、油断してはいけません。

 

 突発性難聴の場合、いっきに聴力が落ちることが多くあります。

 

 そのため、何週間もそのままにしておくと、回復しづらくなってしまうのです。

 

 突発性難聴は、徐々に悪化するものではなく、ある日突然起こるため、「朝起きて歯を磨いていたら、聞こえなくなった」「仕事で徹夜した翌日、夕方5時ごろ、耳が詰まるようになった」など、聞こえなくなった瞬間を、具体的に覚えていることがよくあります。

 

 そうして、聞こえづらさに気づいたら、「一時的なものかな?」と放っておかず、一刻も早く、病院で検査をしてください。

 

 そして、病院や治療院で、納得のいく治療を受けるようにしましょう。

 

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メニエール病と難聴の違いはなに?

 

 メニエール病は、グルグル回るめまいと、通常は片耳の難聴や耳鳴りが起こる、厚生労働省の特定疾患に指定されている病気です。

 

 メニエール病の原因は不明です。

 

 しかし、メニエール病の人さんは、内耳にある、内リンパ液が過剰になる、内リンパ水腫になっている人が多いことから、内リンパ水腫が原因のひとつではないかと考えられています。

 

 また、内リンパ水腫の根底には、ストレス、睡眠不足、疲労、気圧の変化、まじめな性格などがあるといわれています。

 

 初期の症状が似ていることから、メニエール病は、突発性難聴との識別が難しいことがあります。

 

 しかし残念ながら、メニエール病には診断の決め手となる、特定の検査法がないため、人さんは、病歴や症状、そして生活習慣などを、医師にしっかり伝える必要があります。

 

 メニエール病のめまいの発作は、短くても10分、長いと数時間も続き、立っていられないほど激しいこともあります。

 

 めまいと同時に、もしくは、めまいが起こる少し前から、難聴や耳鳴りを伴い、めまいが激しくなると、吐き気、動悸、腹痛などが起こることもあります。

 

 めまいが収まると、こうした症状も消えていきますが、何度もめまいの発作を繰り返すと、難聴や耳鳴りが悪化していきます。

 

 また、以前は女性がなりやすいものだと思われていましたが、最近では、働き盛りの30〜50代の男性の発症が目立ってきているのです。

 

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